本文へジャンプ

















































































著作権とは?


※本稿はなるべく分かり易く表現する為に法律用語を噛み砕いて記載されております。
そのため、法令上の本来意味と厳密には異なる文言も御座いますが予めご了承下さい。



1.著作物とは?

 著作権を考える前にまず、その権利の対象となるもの、すなわち「著作物」がいったい何者なのか分からねばなりません。端的にいうと著作物とは文化的な創作物です。さらに考えると文芸、学術、美術、音楽の人間の思想、感情を創作的に表現したものをさします(著作権法2条1項1号)。もっと具体的に分かり易く考えると次のようなものが著作物で、これら著作物に関する権利が広く著作権と呼ばれます。

【著作物の例】
言語の著作物:小説・詩歌・脚本・論文・レポート・講演・俳句など
音楽の著作物:楽曲・楽曲を伴う歌詞など
美術の著作物:マンガ・絵画・彫刻・書画・工芸品など
プログラムの著作物:コンピュータープログラムなど
その他の著作物:建築物・図表・模型・写真・映画・ビデオ・地図など




2.著作権とは?

 1.で著作物について記載しました。この著作物に関する権利がもっとも広い意味での著作権と考えられています。すなわち、著作権には著作者の人格を守る著作者人格権と経済的な利益を守る財産権の2つがさらに細分化できるのです。

@著作者人格権
 著作者人格権には3つの権利があります。無断で公表されない権利(公表権)、名前の表示を求める権利(氏名表示権)、無断で改変されない権利(同一性保持権)の3つです。

A財産権としての著作権
 著作物を財産としてとらえて、著作物から生ずる経済的利益を著作者は受けることができるのは当然です。この財産権としては次の12個の権利が定められています。
複製権(無断で複製されない権利)、上演演奏権(無断で公衆に上演・演奏されない権利)、上映権(無断で公衆に上映されない権利)、公衆送信権(無断で公衆に送信されない権利)、伝達権(無断で受信機による公の伝達をされない権利)、口述権(無断で公衆に口述されない権利)、展示権(無断で公衆に展示されない権利)、譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)、貸与権(無断で公衆に貸与されない権利)、頒布権(無断で公衆に頒布されない権利)、2次的著作物の創作権(無断で2次的著作物を創作されない権利)、2次的著作権の利用権(無断で2次的著作物を利用されない権利)です。




3.保護期間

 2.@の著作者人格権は著作者が亡くなれば消滅してしまいます。すなわち、この権利は著作者が生きている期間内で原則として効力を持つのです。原則ですので例外があります。著作者の死後もこの権利に対して侵害するような行為はしてはならない旨定められているのです(著作権法60条)。
 2.Aの財産権は原則として著作者が亡くなった後50年間保護されます(例外:映画は公表後70年など著作権法第52,53,54条等)。
なお、権利を保護する期間の計算が他の法令と異なり、保護される期間は亡くなった翌日からではなく、亡くなった年の翌年1月1日から始まりますのでその点注意が必要です。




4.権利の発生時期と登録の意義

 著作権という権利は著作物を創った時点で自動的に発生するので特に何の手続きをしなくとも著作権という権利は保護されると建前上考えられています(無方式主義と呼ばれます。)。
それでは、著作権は創作時点で発生するので、著作権の登録などしなくとも別に良いのではないかと考えられます。しかしながら、現実的に著作権の登録制度があるということは何らか、著作権を登録する意義があると考えられます。著作権に関する登録は何のためにあるのでしょうか。例えば小説の発行日についてAさんもBさんも平成24年3月1日に発行(公表)したとお互いに言い合って争う場合にAさんが著作権登録(第一発行年月日の登録)をしていれば、Bさんは平成24年3月1日にAさんがその小説を最初に発行・公表したのではないとして、これを証明しなければなりません(これは挙証責任の転換と呼ばれます。)。すなわち、著作権者Aさん自身の立証負担の軽減が計られ、これが目的とされています。Aさんは相手方のBさんに反証してもらうことで登録するメリットを享受することができるのです。ただし、著作権登録をしなくとも発行日について他に証言してくれる人や証明資料があればそれはそれでBさんに反論することができますし、著作権登録をすれば裁判に勝てるということではないのでその点注意が必要です。
その他、著作権という権利を他の人に譲り渡す場合に、譲られる人としては本当に私だけに譲ったのか、心配です。すなわち私以外の他の人にも二重に譲り渡したかもしれません。この場合に登録を受けておくことで、私も譲り受けたと主張する他の人に対して主張することができ、取引上、安全といえます(対抗要件の具備と呼ばれます。)。




5.著作権登録制度の概要

 著作権の登録制度には5つの種類の登録が認められています。@実名の登録A第一発行年月日等の登録B創作年月日の登録(プログラムのみ)C著作権・著作隣接権の移転等の登録D出版権の設定等の登録です。
@実名の登録をすることによって登録を受けた人が著作者と推定されます。結果として著作者の死後50年間が保護期間となります。
A第一発行年月日等の登録によって反証がない限り、登録されている日に著作物が第一発行または第一公表されたものと推定されます。
B創作年月日の登録によって反証がない限り、登録された日にプログラムの著作物が創作されたものと推定されます。
C移転等の登録により、第3者に対抗することができます。
D出版権の設定・移転等の登録をすることによって第3者に対抗することができます。




6.著作権と特許権・意匠権・商標権などとの関係

 例えば何らかの発明やアイデアを著作権登録したいという場合を考えてみます。これらアイデアや発明は書いた文書や図形・図面などとして著作物となり、権利の移転や第一発行・公表など一定の事実があれば登録することはできます。しかし、そのアイデアや発明自体とそれらを記載した文書や図面などの著作物は全くの別物ですので、文書などが登録されたからといってアイデアや発明自体が保護されるということはありません。アイデアや発明を保護したい場合は特許・商標・意匠・実用新案による適切な出願方法を選択することが望ましいといえます。詳しくは著作権相談員名簿に記載された行政書士や弁理士などの専門家にお問い合わせください。