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解体後、そのものを運ぶのに業者登録か何か必要なの?



1.解体した後、そのものを運ぶ仕事

  解体業はその名のとおり、主に自動車や建物などを解体する仕事を指します。それでは、解体した後に解体物を埋立場や焼却場に運ぶときに解体業の許可を受けるだけで行っても良いのでしょうか?これは解体業の許可だけで運ぶことができる場合と解体業(または建設業許可)の許可だけでは運搬することができない場合があります。この解体業(または建設業)許可だけで運搬することができない場合に、これらの解体物を車両などに積み込んで、目的地まで運搬、目的地に積み降ろす仕事を産業廃棄物収集運搬業と呼びます。




2.産業廃棄物収集運搬業の許可が必要な具体例

  それでは、具体的にどのような場合に許可が必要で許可が不要なのでしょうか。まず、「産業廃棄物」の定義が重要です。廃棄物には一般廃棄物(一般ごみや粗大ごみなど)と産業廃棄物に区別されます。産業廃棄物とは会社や工場などの事業に直接関係する活動に伴って発生した廃棄物もしくは輸入された廃棄物であって、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)に定められた21種類の廃棄物とされます。したがって、一般廃棄物の運搬には市町村から別の一般廃棄物収集運搬業の許可を受ける必要があります。(なお、解体後の解体物が廃棄物ではない、有価物(古紙などの収集運搬)である場合には産業廃棄物収集運搬業許可が不要との考えがあります。)さらに、排出事業者自らが運搬して処分場へ積み降ろす場合は産業廃棄物収集運搬業の許可は不要です。この場合の排出事業者とは解体を直に請け負った元請業者が該当します。すなわち、元請業者や親会社から解体をさらに請け負った下請業者や子会社は排出事業者に該当しないため、元請業者から解体の委託を受けて収集運搬をする場合は下請業者等は産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となります。その他、別個都道府県知事や環境大臣などから指定(再生利用指定など)を受けた場合は産業廃棄物処理業の許可が不要という例外があります。まとめると、産業廃棄物(または特別産業廃棄物)を排出事業者から委託を受けて収集運搬し、処分場等へ運搬する場合にはそれぞれの区分に応じた産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となるのです。




3.どこから許可を受ける必要があるのか

  具体的に産業廃棄物収集運搬業の許可はどの行政庁から受ければよいのでしょうか。例えば次の例で考えてみます。元請の飛田建設から下請として飛田解体が解体工事と解体で発生した産業廃棄物を処分場まで運搬する場合(神奈川県厚木市の解体現場から東京都内を通過して埼玉県越谷市の処分場へ運搬)、飛田解体は神奈川県と埼玉県の許可が必要なのでしょうか。それとも神奈川県のみ、埼玉県のみ、あるいは神奈川県・東京都・埼玉県、3つの許可が必要なのでしょうか。結論としてこの場合は神奈川県と埼玉県、2つの許可が必要となります。原則として、産業廃棄物収集運搬業の許可は積み込み場所を管轄する都道府県(この場合は解体現場の神奈川県)と積み降ろし場所を管轄する都道府県(この場合は処分場施設のある埼玉県)から受けなければなりません。従って、運搬する際に東京都内を通過する場合であっても東京都の許可は不要です(しかし、東京都内で一時的であっても積み降ろすなど保管して、また処分場に運ぶ場合は別途東京都の許可が必要となります。)。




4.許可を受ける前

 では、産業廃棄物収集運搬業の許可を受けようと思った場合、都道府県に手数料を納めればどの業者でも許可を受けることができるのでしょうか。産業廃棄物収集運搬業許可にも建設業や解体業などのように条件があります。まず第一に(財)日本産業廃棄物処理振興センターが主催する許可申請に関する講習会を受講して試験に合格しなければ許可されません。試験はおおよその方が合格するそうですが、中には講習で居眠りをしていて全く聞いていない人は合格することができない場合もあるそうです。さて、2つ目に当然ながら産業廃棄物を運搬する車両が必要となります。車両についてはどんな車両でも良いわけではなく、都道府県によって許可を受けるための様々なチェックポイントがあります。(詳しくは各都道府県や行政書士にお問い合わせ下さい。)3つ目に原則として債務超過でないこととされます。この3つ目の条件については今までの経験上、若干都道府県によって基準が異なります。追加書類の提出によって債務超過であっても許可を受けられる場合もありますし、追加書類提出後不許可となる場合も有ります。これは各々事業者のケースバイケースということになります。(詳しくは各都道府県や行政書士にお問い合わせ下さい。)その他、事業者の役員や事業主などが破産者や成年被後見人、被保佐人ではないなどの要件が有りますが、これら3つ(講習会に合格・車両・債務超過でない)がいづれもクリアしなければそもそも許可にたどり着けませんのでここで重要な条件として掲げました。この重要な3つの条件等を、許可取得しようとする前に十分に準備をしておきたいところです。なお、講習会は全国各地で行われております。各都道府県の会場によって年に1〜6回程度行われており、どの都道府県会場で行われた講習会を問わず、合格した際の講習会の修了証があればこの条件を満たします。講習会には新規講習会や更新講習会、その他特別産業廃棄物の講習会など色々御座いますが、講習会に申し込む前に十分に確認をされてから各講習会に申し込まれた方が良いでしょう。なぜなら、以前、産業廃棄物収集運搬業の許可を持っている業者が特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を新規に取得されようとした際に特別管理産業廃棄物収集運搬業の更新用講習会を誤って受講された場合がありました。したがいまして、講習会の受講が無駄にならないように受講前によく確認してから受講した方が良いでしょう。