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建設業法について(改正)?

※本稿はなるべく分かり易く表現する為に法律用語を噛み砕いて記載されております。
そのため、法令上の本来意味と厳密には異なる文言も御座います。予めご了承下さい。


1.平成26年3月7日に「建設業法等の一部を改正する法律案」について、閣議決定されました。また、平成26年6月4日に品確法・建設業法・入契法等の改正について、公布、一部即日施行となりました。さらに、建設業法施行令の一部を改正する政令が平成28年4月1日に閣議決定されました。これらなどによって、建設業関連法令は数十年ぶりに大きく変更されます。



2.なぜ、今、建設業法等を改正する必要があるのかが背景として示されています。バブル崩壊後、時の政策によって公共投資などの抑制が相まって、建設業界や関連業界全体として仕事が徐々に減り続けました。結果として、会社や企業では人余りが生じ、建設失業者や離職者が増加しました。また、雇用を守るために給与を減らしたり、賞与やボーナスを減らすなどした企業でも、相当な企業体力の消耗が生じました。さらには、長年の建設業界の不況によって、建設業界への就職の人気が下がってしまい、若年の職人希望者の減少が著しくなっています。東日本大震災での復興公共工事や東京オリンピック等に向かって、将来の工事の担い手不足が今まさに、喫緊の課題として考えられています。また、国土交通省では、「維持更新時代の到来に伴い、解体工事等の施工実態に変化が発生している。」や「維持更新時代に対応した適正な施工体制の確保等の所要の措置を講ずる必要がある。 」として現状や将来に向かって適応できる建設業等の法律を改正する必要があるとしています。



3.主な要点は下記のとおりです。


(1)許可に係る業種区分の見直しとして、業種区分に解体工事業を追加(H28.06.01〜)。
(2)暴力団員であること等を、建設業の許可に係る欠格要件及び取消事由に追加。
(3)許可申請書の閲覧対象から個人情報が含まれる書類を除外。
(4)建設工事の担い手の育成及び確保とその支援に関する責務を追加。
(5)請負代金の額によっては公共工事の適正な施工が通常見込まれない契約の締結が防止されることを追加。
(6)公共工事の受注者が暴力団員等と判明した場合における通知。
(7)入札の際に、入札金額の内訳を提出する。
(8)公共工事を受注した建設業者が下請契約を締結するときは、その金額にかかわらず、施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出する。
(9)浄化槽法及び建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律について、暴力団員であること等を、浄化槽工事業及び解体工事業の登録の拒否事由及び取消事由に追加。
(10)特定建設業の許可及び監理技術者の配置が必要となる下請契約の請負代金の額の下限について、建築一式工事は4,500万円→6,000万円に、建築一式工事以外の建設工事は3,000万円→4,000万円に引き上げられます。
併せて、民間工事において施工体制台帳の作成が必要となる下請契約の請負代金の額の下限についても同様の引き上げが行われます。
(11)工事現場ごとに配置が求められる主任技術者・監理技術者を専任で配置することが必要となる重要な建設工事の請負代金の額について、建築一式工事は5,000万円→7,000万円に、建築一式工事以外の建設工事は2,500万円から3,500万円に、それぞれ引き上げられます。(閣議日:平成28年4月1日(金)、公布日:平成28年4月6日(水)、施行日:平成28年6月1日(水)


4.総じて、今まで、解体工事についてはとび・土工・コンクリート工事に含めて建設業法では取り扱っていましたが、一般に建物を解体して取り壊す工事はとび・土工・コンクリート工事と呼ぶよりも解体工事と呼称する方が分かり易いですし、実態に即して現実的といえます。また、ほ装工事を舗装工事に名称を改めることも現代語から全くをもって当然といえます。
閲覧制度についても誰もが建設業者の個人情報を見ることができるのは現在の社会においては至極問題だと考えられます。
その他、暴力団排除条項については既に、建物の賃貸借契約においてはすでに浸透しており、また、公共工事や入札規定については社会的要請から当然の改正点といえます。
注目すべき点は、建設業者団体や国などに、努力規定ながらも建設工事の担い手の育成及び確保その他の施工技術の確保の責務を担うような規定が加わり、講習会や調査など、今後この規定が派生することを暗示しているように読み取れる点です。

なお、既に平成26年秋ころから国土交通省は一般の方が優良なリフォーム会社を選びやすくするための業界団体の登録制度を開始することを発表しています。その業界団体の登録会員の会社に対して、人材育成や消費者への情報提供に力を入れさせ、間接的に近年横行している悪質業者を市場から排除する目的をもって、管理するものと考えられます。
一般の方が安心してリフォームを行えるように、また、、リフォーム市場の活性化にも国として力を入れるという意味合いが含まれていると思われます。


特定建設業許可と主任技術者・監理技術者に関する専任配置に関する請負金額の変更については従前から、小規模建設業者からの現実的な対応が難しい点や技術者不足問題などから問題視されていたところでした。実務的には大変大きな改正点といえます。


いずれにしても、今後の動きに注目すべき点が多くあるといえます。